2014.11.04
【事業の定義の陳腐化は、進行性の病である。しかも命にかかわる病である】
1、あらゆる組織が自らについて定義を持つ。明快で一貫性があり、焦点の定まった定義が、
組織にとって要の拠り所となる。
2、あらゆる組織が、成功するためには、自らの事業について定義を持たねばならない。
3、事業の定義は三つの部分から成る。
①環境...自らを取り巻く市場・顧客・技術などの経営環境の事。
②使命...社会的にどのような使命を保持するのか。
③強み...企業の資源は何か、企業の強みは何か、差別化された強みを客観的に把握する。
4、如何なる環境のもとに、如何なる使命を、如何なる強みを背景に追求するか。
5、事業の定義が有効であるためには、条件が四つある。
①環境・使命・強みのそれぞれが、現実に即している。絵空事では困る。
②互いに平仄(ひょうそく)が合っている事である。
③組織内に周知され、共有されている。
④常時ふり返り、検証され、継続的改善がなされている。
6、事業の定義の中には、時として永く生き続ける、未来永劫不変のものもあるが、だが人の
創るものに永遠のものは無い。いかなる定義と云えども、やがて陳腐化する。
7、陳腐化の予防策は存在する。
①製品・役務・サービス・方法・チャネル等について、常に自問自答する。
②顧客ならざる者(ノンカスタマー)を常時モニタリングし、変化の兆しを掴む。
8、陳腐化にも、時節があり類型がある。
①使命を達した時。一例として、電話事業者にとっての事業の定義は、固定電話が全国に
普及した時に陳腐化した。
②短期間に2倍、3倍へと急成長した時、こんな場合には、事業の定義を超えて大きくなっている。
予期せぬ成功であるが......バブル経済もこの一つ。
③予期せぬ失敗に見舞われるようになった。
故に、事業の定義の陳腐化は、進行性の病である。進行性の病は、治療の先延ばしによっては
解決しない。根本的治療を行わない限り治らない。 (P・F・ドラッカー著書より抜粋)
以上の通り、思考・行動の一助になれば幸いです。
専務 佐伯 淳